えいしん?
飛竜北高等学校との試合が終わり、続いて発表された対戦相手は栄新高校。それは27年前の東東京大会準々決勝、走一郎と音美の実父・澤井圭一の選手生命が絶たれた試合の対戦相手だった。大山監督が当時のキャプテンでキャッチャーだったこともあり、千本木は「やりにくくないか?」と声をかける。当事者として心に傷を負ったままの千本木だったが、大山監督は呆れたように「何年経っていると思っているんだ? あの試合を覚えているやつなんかほとんどいない」と返す。公式戦での対戦は、その時以来。両校とも“出れば負ける”を繰り返していたためだったが、今年はどちらも久しぶりに戦力が整っていた。そんな中、グラウンドにはバッティングの調子が悪い遼の姿があった。芯を捉えず、大きく左にそれていく打球。そんな様子を撮影する亜里沙――その後、彼女が会って映像を見せていたのは遼の兄・智仁だった。遼の子供時代の写真と交換で、バッティングの様子を撮ってくることになっていたのだ。亜里沙はバッティングが上手くなるよう指摘してくれるのだと思っていたが、智仁は「今のまま力いっぱいのグリップでヒザを固くしたまま、内角を思い切り引っ張り続けてくれ」と言葉を残して去っていく。憤慨する亜里沙に対し、横で話を聞いていた間崎は「今の言葉をちゃんと伝えてやれよ」「仲のいい兄弟みたいだな」と声をかけるのだった。そして、それぞれが記憶と苦悩に向き合う明青学園VS栄新高校の試合が始まる。