PART2
全国高等学校野球選手権・東東京大会。明青学園の次の相手は、今時珍しいヤンチャな生徒の集まった飛竜北高等学校だ。自由な校風で、体格にも運動神経にも恵まれた者が多く、格闘競技では全国レベルの選手を多く輩出している。野球部も数年前まではベスト8に入る常連校。しかし何度も繰り返される対外試合禁止処分、3年前に就任した戸井田監督は学校側から徹底的な改革を任された。改革は成功し、礼儀正しいチームとなった飛竜北野球部は……まったく勝てなくなった。彼らの強さは乱暴と無礼がセットだったのだ。戸井田監督が責任を取るということで元通りとなった飛竜北野球部は、マナーはともかく個々の技術と能力は本物。戸井田監督曰く、創部以来最強のチームとなっていた。明青野球部の先発投手は、まだ投球のコントロールが上手くできていない夏野。大山監督は3点取られるまで変えないと約束していた。夏野のコントロールのなさは飛竜北野球部にバレているようだったが、それでも試合はほぼ明青野球部の勝ちで決まっていた。しかし、飛竜北野球部に諦めている選手はいない。実は、戸井田監督は新しい校長と揉め、今回の試合で負けた場合は野球部の監督を辞めることになっていたのだ。その契約について校長は周囲に言いふらしており、もちろん野球部員たちの耳にも入っていた。試合は明青野球部の勝利で終わったが、戸井田監督はニヤリと笑う。果たして契約時に書いた、覚え書きの内容は……?