あいつをくどけ
新年度を迎えた明青学園野球部。新戦力と言えば夏野くらいで、元々のメンバーたちも安定しているわけではない。そんな練習中、錦はギャラリーの中に中等部野球部の黒柳監督を見かけたような気がする。一方、音美は亜里沙に身に覚えのない言いがかりをつけられていた。遼がサッカー部に入ったと思っていた亜里沙は、マネージャーとして入部届を出していた。しかし遼の姿はなく、亜里沙は影響力のある音美に「さっさとサッカー部に入るように言え」と詰め寄りに来たのだ。しかし、中庭で話す投馬と遼の姿を見つけ音美は「手遅れかもしれない」と伝える。結局、遼は野球部に入った。音美も前から何となく気が付いておりそれほど驚かなかった。少し前、バッティングセンターで練習する遼の姿を投馬と智仁は見ていた。好きなはずの野球を遼がやらなくなったのは、智仁が続けていたからだ。埋められない1年の差、そして2人の溝が決定的となったのは遼が大切にしていた犬を交通事故にあわせてしまったことだった。心身ともに疲れていた智仁は「どうやって謝ろう」と考えているうちに謝る機会を逃し、これまで無視し続けてきた。「おれを悪者にしてあいつをくどけ、才能は保証する」そう言い残し、智仁は去っていった。そうして遼が加わった明青学園野球部に新たな変化が……?